為替相場を、雑念を払ってなんとか科学的に捉えようと色々なテクニカル・ツールが開発されてきましたが、未だに完璧なものはありませんし、そのようなものがあればまた苦労をすることもないのです。私も為替相場で痛い目に遭う度に必勝法はないものかと各種手法を試してきましたが、これぞと思うものがありませんでした。ちょうどそんなときに出会ったのがエリオット波動理論です。幸運なことにその当時のドル・円相場がまさに絵に描いたような展開を見せ、ことごとくエリオット現象を出現させたのですっかりこの理論の虜になってしまいました。
ここでそれらの現象を紹介し、なるほどと共感を持って頂ければ幸いです。エリオット波動理論が持つ神秘性を信じようが信じまいがひとそれぞれでしょう。私も100%この理論に頼っているわけではありません。実戦ではやはり、為替相場に影響を与える要因を分析した上で自分の相場観、平たく言えばフィーリングを(ファンダメンタルズよりも)一番大事にしていました。銀行ディーラーは悲しいかな短期決戦だからです。しかし、相場を見る目に迷いが出、自分の方向感に自信が持てないでいるとき、自分の描く絵とエリオット波動理論が導く結論が一致すれば、心の支えとなり得ます。エリオット波動理論に限らずテクニカル手法は結局、崖から跳びおれずに躊躇しているひとの背中をかけ声と共に押してくれる、そんな感じでしょうか。
エリオット波動理論によると、例えば DAILY CHART において、チャート上の一時的な底や天井から数えてフィポナッチ数字番目の日に次の天井や底を迎えることがある、とされています。以下に、その具体例を示しましょう。
フィボナッチ数列:1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,377,610,....
上図、青色の数字が日数を示しています。ただし、ここで言う日数とは営業日を指していて、三大市場(東京、ロンドン、ニューヨーク)のうち、どれかひとつでも市場が開いていればその日をカウントしています。
いかがですか? 結構いい線が出ていると思いませんか? 残念ながら厳密に言えば、波動のラベリングにぴったり呼応していない部分もありますが、(一時的な)天井や底どうしを結び付けると随所にフィボナッチ数字との関連性を匂わせる現象を見ることができます。すなわち、天井や底をつけた日からフィボナッチ数字番目の日に次の底や天井を示現しやすい(かも知れない)と言えそうです。事実、書物によってはこれを TIME TARGETと称し、具体例を紹介しているものもあります。
それにしてもフィボナッチ数列、そしてそこから算出される黄金分割比、なんか神秘的な数字ですね。日常生活で我々が目にする物から宇宙空間で見られる事象まで、いわゆる黄金分割比に関するおもしろい話はいろいろな本に書かれています。
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