たくり足

相場の底打ちを示唆すると言われる「たくり足」。果たしてこれが有効であるかどうか、1985年から2009年までのドル・円日足ローソクで検証してみた。日足ローソクの始値は東京市場午前9時、終値はNY市場午後5時。

たくり足は本来、左図のように下降トレンドが続いたあと前日ローソク足から下放れ気味に出るのが理想的とされているが、ここでの検証ではやや条件を甘くしてその定義を以下のように定めた。

  1. 前日ローソクの中間より下に出現すること。
  2. 短いたくり足を除外するため、ローソクの長さが終値の1%以上あること。
  3. 前日が明確な陰線であることに限定するため、その実体(ローソクの胴体部分)の長さが終値の0.5%以上あること。
  4. 数値処理上、下落トレンドにあることの判定はたくり足の出た当日を含む、過去21日間の高値と当日安値の差が終値の5%以上あるときとする。
  5. たくり足の下ヒゲがローソク全体の67%以上あること。
たくり足出現日安値更新日数
1986/05/081
1987/10/292
1988/01/1352
1995/04/107
1997/05/122
2008/01/031
2008/12/123
2009/01/21221

検証結果は左表のとおり。「安値更新日数」とは、たくり足が出た当日安値が何日後に更新されたかを示す。「1」であれば当日の翌日には安値が更新されたことを意味する。この日数が短いほどたくり足は底打ちを示唆しなかったことになる。過去25年間のデータではたくり足の出現頻度そのものが少ない上に巷言われている底打ちの示唆は少なくともドル・円に関しては怪しいといわざるを得ない。

では、たくり足の定義をもっと緩和してみるとどうなるか。上記の条件中、3.と4.を外してみた。どのようなトレンドにあろうが、見かけが「たくり足」ぽければすべてよしという条件下で検証した結果が下表。32例中、4日以内にたくり足当日の安値が更新されたケースが16例もあった。10日以上、安値が更新されなかったケースは11例。条件を緩和してもたくり足が底打ちを示唆する確率は低いようである。

たくり足出現日 安値更新日数 たくり足出現日 安値更新日数 たくり足出現日 安値更新日数
1986/05/08 1 1995/11/10 3209 2008/01/03 1
1986/10/28 46 1996/05/30 44 2008/04/10 129
1987/01/19 45 1997/05/12 2 2008/04/29 8
1987/10/29 2 1998/06/03 10 2008/05/06 2
1988/01/13 52 1998/10/02 2 2008/06/30 11
1988/07/07 11 2000/02/28 2 2008/08/13 6
1988/10/31 2 2000/06/29 975 2008/09/26 1
1989/01/24 15 2001/05/24 5 2008/12/12 3
1993/07/28 2 2002/09/25 1 2009/01/21 221
1994/07/06 2 2004/03/09 4 2009/03/06 4
1995/04/10 7 2006/05/01 4 --- ---

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